hadashiA's blog

ブログがよくわからない

クソみたいな考え (前編)

 アザラシの生態について。
 アザラシは強くもなく弱くもなく、の水の流れに乗って、かなり楽な姿勢で右から左へ泳ぎます。いつも水玉のパ ジャマを着ています。気に入ってるから。パジャマの背中には、『善良な市民』という文字がプリントされています。楽しそうな顔して、少ない動きでうまく身体の重心を移動させ、両手で水をかくのです。このとき、行きたい方向を自在にコントロールしているように見えるけど、それはウソです。
「右に行っても左に行っても、どっちでも一緒でしょ?」
 と彼らは考えているから、生まれてこの方、自分で行きたい方向を決めたことなんて、本当はないんです。
 アザラシは左に行きたいのに、水の流れが右 だった場合、彼らはどうするのでしょう? ちょっと左に向かって水をかいてみるそぶりを見せるものの、すぐにあきらめて右へ行きます。
「おまえらそれでいいのか?」
 僕は、そんなアザラシを見て、「おまえらそれでいいのか?」と、ずっと思っていました。

 今回、僕は、人生の先輩としてここは1つ、アザラシたちに勉強させてやろう。と思いたち、説教をかますことに決めたのでした。

 水玉のパジャマを着たアザラシが、僕の前にずらりと並んでいます。外は日射しが強いので、アザラシたちは思い思いの帽子をかぶったり、風呂敷を頭に巻いたりして、おでこが乾かないように用心しています。
 事前にアザラシから連絡をもらったところでは、今日は全部で30匹のアザラシがここ、市民体育館に集合する予定だったのですが、時刻を少しまわった時点で、アザラシは17匹しかいませんでした。
「いったいどうなってるんだよ。残りの13匹はどうしちゃったんだよ」
  と、僕は尋ねました。
「あのね、来ようと思ったんだけど、水の流れが逆だった関係でダメだったんだよね」
 との案の定の返事。
 僕は別に、驚かなかったし、17匹も来てくれただけありがたいな、と思い直し、返事をしたアザラシに、ミルキーを1粒与えました。
「これは良いものパウね」と、アザラシに礼を言われました。
 この時点で僕は、今日、何の話をするつもりだったのか忘れてしまいました。
 

おれの50センチ間隔とおまえの50センチ間隔

なにげなく、新幹線の線路を近くで見たら、50センチくらいの間隔で、左右をネジで止めてあった。50センチくらいをキープしたまま延々と、ずっと向こうまで、見えなくなるまで、しっかり止めてある。
一番最初に、このネジを止めた人は、一体どうやったのか? 少しだけ気になった。

「君は東京と長野、どっちからはじめたいのかね?」
ネジを止め始めるとき、ネジを止める係の人が、そう質問を受ける。どっちからやっても一緒だから、誰だって、好きな方から始めたいんだ。「長野からでおねがいします」と、答える。すると、「今回は、50センチ間隔で行こうと思ってる」と、説明を受ける。
さあ、そこからがわからないんだけど、ものすごいでっかいリュックに、ネジをパンパンに詰めて、長野からはじめる。初日は、夢中でネジを止める。でも日 が暮れたとき、泊まるところが近くにない場所だったら困る。どこまでネジ止めたかわかんなくなったら大変だし。なによりも、途中でリュックの中の ネジがなくなっちゃたら、どうやって補充するのか? 一回で全部のネジを持てないと思うし……。
ということは、かなりの大人数で分担したはずだ。
一人一人、持てるだけのネジを持っていく。
「はい、きみは1000個ね」
「はい、じゃあきみは2000個ね」。
当然、混乱しないように、線路のどこからどこまでが担当なのかはっきり決めておくのが大事。でも、そこは人間のすることだから、ズルをしたい気持ちが芽生えてくるはずだよ。
「50センチ間隔って言われているけど、おれのところだけ70センチ間隔でやっちゃっても大丈夫なんじゃないだろうか?」
という気持ちがそれだ。だけど結局、70センチ間隔で自分の分担を終えた人は、当然、最後、リュックのなかにネジが300個くらいあまる。この300個を彼はその後どうしたのか? 帰り道に川に全部捨ててったのか? 僕はそこが知りたいんだ!
逆もある。50センチで間隔でやろうと思ってたのに、なんか微妙に48センチくらいでやっちゃってたらしくて、残り100メートルのところまで来て、 リュックの中身を確認したらもうネジが3つしか残ってない、という人もいたはずだ。もしも、新幹線の線路をながめていて、急にネジの間隔がめちゃくちゃ広 くなってるエリアがあったら、そこは彼の担当だったに違いない。

なんか違う気がする

 なんか違う気がする。なんか違う気がするけど、たぶん、なにが違うのかわからないまま、寿命が来て死ぬ。石の墓標には、『なんか違う気がする』という文字が刻まれる。そうなることはわかっている。別に文句を言いたいわけじゃなくて、ただ単に、なんか違う気がするだけなんだ。むずむずするんだ。乾燥して足が痒くなったときは薬塗ったら治ったけど、「なんか違う気がする」は薬塗っても治らないんだ。
 今日は、『なんか違う気がする』と書かれた服を着せた犬を連れて、『なんか違う気がする』と書かれたTシャツを着て、街を歩いた。
 駅前の大通りには、渋滞ができていた。縦に一列になって行儀良く並んだ車たちはほとんど四角い形をしていて、変だった。ゆっくり僕と犬のペアとすれ違っていく。どの車が一番四角いのかなあ。ところで、「なんか違う気がする」の反対の意味の言葉はなんだろう。「違わない」、「合ってる」「しっくりくる」だろうか。僕にとっては、もっとこう、「好き」とか「ありがとう」に近い感じの言葉がある気がする。「よし」とか「シャー」とか、「1点取った」みたいなニュアンスもほしい。それはどんな言葉なんだろう。昔、ワギャンランド2というゲームがあって、Yボタンを押すたびにワギャンはすごい勢いで口から「ワッ」という文字を飛ばして、敵をやっつけながら、えらく平な場所を走り回っていた。ワギャンが口を開くと、「ワッ」で、話の通じない奴らが全員吹っ飛ぶ。まさにあのワギャンの「ワッ」という言葉が、「なんか違う気がする」の反対の言葉かもしれない。
 四角い車の行列はなんか変だった。ハンドルを握るドライバーの皆さんの顔も、「なんか違う気がする」という顔をしているように見えた。普通の車を買ったつもりが、乗ってみたら変な車だった。なんてことは、まさかないだろう。車に乗り込んで走り出してみたけど、行き先が「なんか違う気がする」のだろうか。列を横切って、通りを歩いた。